前回は、「プレーヤーのポジション固定」についての意見を掲載させて頂きました。今回は、「シングルス」について、引き続き仲本氏のコメントを掲載させて頂きます。
論旨 | :競技して楽しい、見て楽しいシングルスにする。 |
1.コート区画は硬式テニスのシングルスコートと同じにする。 | |
2.ネットの高さはセンターで106センチ、サイドで126センチとする。 |
昭和48年以来、毎年12月の第一土・日曜に開催されている京都での「関西オープンシングルス大会」において、新ルール制定の平成4年から、日本ソフトテニス連盟に協力する意味から、2年間新ルールを採用して行いました。(その経緯及び意見は、呉
晃一郎氏が既に日本ソフトテニス連盟機関紙「ソフトテニス」に投稿されております。)
新ルールは、後衛技に勝れた選手にも、前衛技に勝れた選手にも、均等にその長所を生かせるルールである点、特によく考えられたルールであるとはいえます。
しかし、その繁雑さと変形から、審判員も競技者も間違いをおこしやすいルールになっています。
また、見ているものにとっても、分かりにくい競技風景となっている点等、広がりにくくなっているのではないでしょうか。
故 呉啓三郎氏を中心に、京都の有志が集まって実践し、話し合い、現在26回を数える関西オープンシングルス大会で行っているルールでは、硬式シングルスのコート区画と進行を同じにしています。
しかし、ボールの質の違いを考え、サイドライン上のネットの高さを20センチ高くし(126センチ)、センターの所では106センチのダブルス時の高さ(現行の高さ)にしてゲームを楽しんでいます。
ファイナルゲームは7ポイント先取として新ルールのよい点を取り入れています。
以上、スポーツの大原則である「人間が競技し、人間が判断し、人間が見て楽しむ そのために人間がルールを作っていく」に立ち返り、最も改善していただきたい点を述べさせていただきました。
是非ともよろしくお願い致します。
以上が仲本先生のコメントです。コメントの中に「その繁雑さと変形から間違いを起こしやすい」とありますが、これは導入当初だけで、広報委員会(若月道隆 広報委員長)もコメントされているように、我々も、ある程度定着すれば、特に問題視する程のことではないと思っております。
そもそも、ネットの高さを工夫したのは、京都梁山会が昭和44年に開催した「第1回梁山杯争奪全国軟式庭球シングルス大会」からでした。
梁山会は全国レベルを目指すため、練習のための共通の場を持とうとする京都の一般精鋭が集まって組織化したクラブであり、梁山会は、当時ほとんど学生のみであったシングルスの試合を、一般社会人にも広めようと考えておりました。
当時の課題は、ネットの高さでした。ネットが現行のままの106センチではレシーブで簡単に得点できる。またネットについたとき、サイドを抜かれやすい。そのため、センターはそのままに、サイドのみ116センチにしました。しかし、それでもまだ改善されないため、さらに10センチ上げ、最終的に126センチにした経緯があります。
「関西オープンシングルス大会」はそのような梁山会のルールにのっとり、現在まで続けてきました。
繰り返しになるかも知れませんが、整理して我々が実践しているルールのメリットについてまとめます。
1. サイドを126センチにした理由
通常の高さでのデメリットと改善
■ サービスが甘いとレシーブをストレートあるいはクロスに強打することで、簡単にポイントが決まり、一発勝負で面白みに欠ける。
⇒ ネットが20センチ高いとストレートに強打しにくくなり、例え打ってもそれで、簡単にポイントにならない。但し、次のチャンスボールにはつなげることは出来る。
■ ラリー中でも、同様に強打すれば、硬式のボールと異なり、球足が速いために、フォロー出来ない
⇒ レシーブと同様、一発勝負が激減し、ラリーが持続する。
■ チャンスボールでネットに詰めても、サイドを抜かれやすい
⇒ その場合、サイドに打たれ難いため、ボレー等によりポイントしやすくなる。
2. コートの幅を硬式テニスと同じにした理由
新ルールでのコート幅でのデメリット
■ コート幅が狭いため、ラリーで振り回してのポイントが出来ない。ポイントの多くはツイストによるポイントが多くなり、観客側にたてば、単純で面白みがなく感動を与えない。
⇒ ネットの高さとも関係するが、色々な技の応酬があり、観客も楽しめる
■ ネットプレーで、ボレー、スマッシュが決まりにくい。一般の力のある選手なら狭くても正面へ強烈なボール・スマッシュで得点可能であるが、年齢と共にそうはいかない
⇒ 角度のあるボレー・スマッシュにより力がなくとも得点が可能である
3. その他のメリット・デメリット
⇒ 通常どこのコートでも硬式テニスが出来るようにシングルスラインが設定されている。
⇒ クレーコートならセンターラインを木等で引くことが出来るが、オムニコートの場合はそうもいかない。
⇒ サイドのネットの高さを126センチにするためのバーが必要になる。
⇒ センターのネットの高さを106センチにするためのバンド(あるいは紐等)が必要になる
4. 結論
⇒ 新ルールでは単純なプレーが多くなり(つまりラリーとツイストの繰り返し)、時間も掛かる。また、観客が楽しめないのではないかと思っております。
⇒ 我々のルールでは、所要時間はダブルスとほとんど同じです。選手にとってはオールラウンドな技術が要求されるため大変ですが、種々のプレーが見られるため観客にとっては楽しめます。
⇒ ファイナルゲームでの7点先取は熟慮された方式であり、コートの有利・不利、サービスの有利・不利をなくし公平にゲームができる素晴らしいルールであると考えている。
5. まとめ
皆さんも実際にコートに立って見ると、サイドのネットの高さが非常に気になると思いますが、本当に面白いですから、一度ゲームを試みて下さい。そして判断して、ご意見があればどんどんお願いします。
また、当協会では平成6年から、毎年1月に、西脇公園で「へそオープンシングルス大会」を開催しております。一度参加してみて下さい。
3回にわたって掲載した、仲本先生による、「ルールを考える」シリーズは今回で終わります。次回のテーマについては検討中です。
仲本先生どうもありがとうございました。今年8月に行われる兵庫での全日本シニア選手権大会に新庄・仲本ペアで出場されるとのこと、優勝目指して頑張って下さい。